ごあいさつGreeting

加藤 尚哉 および 若宮 淳志 近影

 「この技術は凄い。必ず誰かがものにする(実用化する)だろう。」これが、2016年頃私が、大学の同級生であり大親友でもある若宮先生から初めて「ペロブスカイト太陽電池(PSCs)」について説明を受け、事業化の構想を聞いた際の率直な感想でした。そして「誰かが」実用化を実現できるのであれば、その一翼を自らが担うこともできるはず。これはやるしかない。」そう決断した瞬間が、まさにエネコートテクノロジーズの原点です。

 「スタートアップ不毛の地」とも揶揄されていた京都大学において、官民イノベーションプログラムの予算を背景に大々的なスタートアップ支援スキームが整備され、その一環として事業化を目指す研究開発プロジェクトを起業前の段階から助成する制度「京都大学インキュベーションプログラム(IPG)」が創設されたのが2016年11月。若宮先生と私はIPG第1回公募セッションへの応募の結果、幸いにも第1号案件として採択頂き、以来PSCsの実用化に向け研究・開発を続けてきました。そして2018年1月にエネコートテクノロジーズを起業し、その後、京都大学独自のベンチャーキャピタルである京都大学イノベーションキャピタルの運営するファンドから出資を仰ぎ、2019年1月より本格的に事業を開始し今に至っています。

エネコートテクノロジーズのコーポレートミッションは以下の3つです。

 ① 京都大学の研究者による知を事業化すること
 ② PSCsによる「どこでも電源化」を実現し様々なデバイスの利便性の向上やIOT化の促進に貢献すること
 ③ PSCsの主力電源化を目指し、カーボンニュートラル達成、超長期的なエネルギー問題解決に貢献すること

 このたび、経産省(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業や多数の投資家様からのご支援のおかげで、エネコートテクノロジーズは「研究・開発」から「生産・販売」へと事業ステージを進めるための第一歩を踏み出すことができました。今後ますます事業スピードを加速させ「ペロブスカイト太陽電池で未来を創る」をスローガンに、PSCsの実用化・社会実装に全力で取り組んで参ります。

2022年4月
共同創業者/代表取締役 CEO 加藤 尚哉

 真に持続可能な社会の構築(SDGs)やカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みが国内外で活発化しています。

 「研究者として、人類・社会に貢献できる研究にも取り組みたい」私はこの思いで、2010年より、JSTさきがけの研究課題として、次世代太陽電池の開発研究に取り組み、「ペロブスカイト太陽電池」に出会いました。これまでに基礎科学研究で培った材料化学を礎に、国内でもいち早くこの研究開発に挑み、2014年には高性能化の鍵となる前駆体材料の開発に成功しました。また、先端分光法を用いて材料のユニークな物性を次々に明らかにし、高い光電変換特性を示す発電メカニズムの解明にも成功しました。2016年には、高品質な材料薄膜の塗布法の開発により、国内でも初めて20%の光電変換効率を達成しました。2021年には、低鉛・錫系材料を用いた23.6%の世界最高効率も達成しています。

 これまでの研究から「ペロブスカイト太陽電池」の特長が見えてきました。この新型太陽電池は、印刷技術で塗ってつくれて、軽量でフレキシブルな形状のフィルム型であり、屋内から屋外まで様々な条件下でも高い発電効率を示します。この優れた太陽電池を「どこでも電源」として、広く世に出して、未来のエネルギー社会・世界を変えたい!この強い思いから、2018年1月に株式会社エネコートテクノロジーズ(エネコート)を設立しました。

 これまで、京都大学では、JST COI、ALCAおよび未来社会創造、NEDOなど国プロの支援を受け、エネコートでは、NEDOの他、京都大学インキュベーションプログラム、京都iCAPおよび民間VCからの出資など多大な支援を受け、共に開発研究を進めてきました。2021年度からは、経産省(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業にも採択いただき、いよいよエネコートが主導する事業化が本格化してきました。

 本太陽電池の実用化に向けては、大量生産技術の確立や、市場からの要望に応える性能・信頼性の実現など、まだ多くの課題が残されています。ベンチャーだけでは困難な課題に対しても、各学術研究機関の他、材料メーカー、製造装置メーカー、社会実装メーカーなど様々な企業とも密に連携しながら課題に挑み・乗り越えていき、皆様に支えて頂きながらペロブスカイト太陽電池の社会実装を広く実現していく所存です。今後ともエネコートテクノロジーズをよろしくお願い申し上げます。

2022年4月
共同創業者/取締役 最高科学責任者
京都大学化学研究所 教授 若宮 淳志

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