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太陽光発電のニーズの高まり

  • update:
    2023.10.03
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    blog

現在温室効果ガスの排出に伴う地球温暖化問題が叫ばれており、これに伴い国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において2015年に二酸化炭素排出削減を行う国際的な取り決めであるパリ協定が採択され、2016年に発効されました。
日本でもこのパリ協定に基づき、2050年にカーボンニュートラルを達成することを目標として掲げています。

カーボンニュートラルとは、社会全体として二酸化炭素の排出量が実質ゼロの状態をさし、このカーボンニュートラルを実現するために、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの活用に注目が集まっています。

地球温暖化ガスの大半は二酸化炭素であり、化石燃料を燃やすことで排出されます。現在、化石燃料は火力発電や工業炉、燃料ガソリンなどで使用されているので、化石燃料を使用しないことがカーボンニュートラルのために重要です。

これまでの化石燃料が担ってきた役割を、太陽光を始めとした風力、水力、地熱などの再生可能エネルギーを使った電力で置き換えることが出来れば、その分二酸化炭素の排出量が減ります。
このような背景に伴い、国策として太陽光発電の普及が行われており、2012年の固定価格買取制度(FIT)を皮切りに、日本全体の太陽光発電の普及率は年々増加傾向を示しています。

従来型太陽光発電の課題

再生可能エネルギーで電気を生み出す太陽光発電はカーボンニュートラルに有効ですが、従来型のシリコン太陽光発電には幾つか課題もあります。

設置場所の制限

シリコン太陽電池パネルは重量があるため、屋根が太陽光パネルの重量を支えるための強度を持っている必要があります。そのため、木造住宅やの瓦屋根などの場合、設置が難しいことがあります。

また、シリコン太陽光パネルは平らな場所にしか設置できず、曲面がある場所には設置が難しいです。また、平面でもビルの側壁などへの設置は想定されておらず、主にビルなど建物の屋根や平地や斜面などの地面に設置場所が限定されてしまいます。

さらに、日本は平野部が少ないため、1,000kW以上の大規模太陽光発電所であるメガソーラーを設置する際には山間部や平野部の森林を伐採するケースが多く、自然破壊に繋がっていることや景観を損なうなどの問題が各地で生まれています。

出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E9%9B%BB%E6%B1%A0-%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%85%89%E7%99%BA%E9%9B%BB-%E9%9B%BB%E6%B0%97-191691/

導入コスト

シリコン太陽電池パネルは重量が大きいため、実際の導入にかかるコストや手間が大きいのが課題です。
製品ごとに多少の違いはあるものの、1枚あたりの重さは15kgであり、一般家庭の平均的な積載枚数である20枚の設置ではおよそ300kgにものぼります。

重量のある太陽光パネルは、屋根の上や建物の屋上までの運搬が大変な上、それを設置しても耐えられるような強い耐荷重の屋根にしなければならないため、総合での設置のコストが高く、導入の際の障害となっています。

廃棄コスト

一般的にシリコン太陽光パネルの寿命は25~30年と言われており、2012年の固定価格買取制度導入以降に設置された太陽光パネルは、2040年ごろを目処に寿命を迎え、交換や撤去等の処置が必要になります。
しかし、先述の通り、シリコン太陽光パネルは重く、体積も大きいため廃棄の際にも撤去や運搬にコストがかかるのが課題となっています。
廃棄コストとしては、小さい戸建ての場合でも、20~30万円の撤去廃棄費用が発生してしまいます。また、体積に関しては将来的に、ピーク時には使用済み太陽光パネルの年間排出量が、産業廃棄物の最終処分量の6%にも及ぶとする試算もあります。(2018年,資源エネルギー庁)

ペロブスカイト太陽電池登場による期待

現在、次世代太陽電池として期待されているペロブスカイト太陽電池が登場し、実用化に向かって開発が進んでいます。このペロブスカイト太陽電池は薄くて軽く、柔軟性があるため、シリコン太陽電池では設置が困難であった場所への導入が期待されています。

導入コストの低下

ペロブスカイト太陽電池は薄く軽いので運搬が非常に容易です。
従来のシリコン型の太陽電池の重量が、1㎡あたりおよそ11kg~13kgであるのに対し、ペロブスカイト太陽電池重量は10分の1の重量ほどとなっています。軽量化に伴い、その分運搬に関わるコストが抑えられます
また、運搬だけでなく、実際に屋根への設置もその軽さからシリコン型太陽電池に比べて容易なため、設置のコストも安くなることが期待されています。

出典:エネコートテクノロジーズ資料(大学発ベンチャーJST2023様式B0515final)より抜粋

廃棄コストの低下

ペロブスカイト太陽電池は薄く軽量なため、廃棄の際の屋根からの撤去コストや撤去後の運搬のコストの低下に貢献します。

また、フィルム状で、回収後の体積もかさばらず、保管コストの低下や最終処分場の容量に関する課題解決も期待されています。

また、現在、寿命を迎えたペロブスカイト太陽電池を洗浄・再加熱するリサイクル法の開発も進められており、リサイクルのコストについてもシリコン型太陽電池に比べて優位になる可能性があると期待されています。

設置場所の多様化

シリコン太陽電池は柔軟性が無いため曲げることはできませんが、ペロブスカイト太陽電池は非常に薄くフレキシブルなので曲げることが出来ます。これらの特徴により、実際の取付方法は開発中ですがより柔軟な設置が可能になり、その軽さと相まってビルの壁や曲面などシリコン太陽電池が苦手にしていた場所に設置することができるようになることが期待されています。

また、その軽量性を活かして、これまで設置が難しかった耐荷重の低い古い倉庫や一般住宅の屋根でも設置が出来るようになると期待されています。実際にエネコート社は倉庫保有者などと共同での実証実験について協議をしているところです。

さらに、建築物だけでなく、自動車のボディーや軽量の飛行機の翼、窓ガラスなどにも応用が検討されており、ペロブスカイト太陽電池が実用化されると街中にペロブスカイト太陽電池が設置され、発電している様子を見かけるようになることが予想されています。

シリコン太陽電池とペロブスカイトの比較表

出典:エネコートテクノロジーズ資料(ペロブスカイト太陽電池ならびに弊社事業のご紹介)より抜粋

まとめ

ペロブスカイト太陽電池は、導入コストやシリコン太陽電池が苦手としていたような場所への導入の面で優位性を持っており、カーボンニュートラル実現への重要な役割を果たすことが期待されています。

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