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ウォールストリートジャーナルに掲載されました。

ウォールストリートジャーナル日本版2024年1月15日に弊社が掲載されました。

日本発の新型太陽電池、中国の独占切り崩せるか

ぜひご覧ください。

「KSIIゼブラ」に認定されました。

イノベーションストリームKANSAI 7.0(主催:うめきた未来イノベーション機構(U-FINO))内にて開催された認定セレモニーにおいて「KSIIゼブラ」として表彰されました。「ゼブラ企業」とは、利益の追求と社会貢献の両立を目指す企業のことを指し、「KSIIゼブラ」は関西イノベーションイニシアティブ(KSII)が独自の基準で認定した大学発スタートアップです。

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神奈川県、日揮株式会社と「脱炭素化促進のためのペロブスカイト太陽電池の普及に関する連携協定」を締結

株式会社エネコートテクノロジーズは、2023年12月19日付けで、神奈川県および国内EPC事業会社である日揮株式会社(代表取締役社長執行役員 山田 昇司)と「脱炭素化促進のためのペロブスカイト太陽電池の普及に関する連携協定」を締結しましたので、お知らせします。これは、神奈川県の脱炭素化に向けて、ペロブスカイト太陽電池の実用化および普及を目指すものです。

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日揮ホールディングス株式会社、苫小牧埠頭株式会社と実証実験の開始を決定いたしました。

株式会社エネコートテクノロジーズは、このたび日揮ホールディングス株式会社、苫小牧埠頭株式会社と共同で、北海道苫小牧市の物流施設に、エネコートテクノロジーズが開発した次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」を設置する実証実験を2024年から開始することを決定しましたので、お知らせいたします。

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三井不動産レジデンシャル株式会社、京都大学と住宅用ペロブスカイト太陽電池の共同研究を開始

株式会社エネコートテクノロジーズは、三井不動産レジデンシャル株式会社、国立大学法人 京都大学とこの度、住宅におけるペロブスカイト太陽電池の活用に関する共同研究を開始しましたのでお知らせします。

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太陽光発電の普及の歴史と未来

太陽電池は1954年の発明以来、大きく進化してきました。現在ではその太陽電池の姿を様々な場所で目にすることが出来ます。今回は実用的な太陽電池が誕生したのはいつなのか、またどのように進化してきたのか、さらには次世代の太陽電池はどんなものなのか、などについて太陽電池の歴史を紐解きながら解説いたします。

太陽光発電の誕生

太陽光発電の歴史は1954年にアメリカのベル研究所で実用的な太陽電池が発明されたことにより幕開けを迎えます。これを皮切りに、発明から4年後の1958年には人工衛星の電源、1977年にはソーラーカー等、様々な用途に応用されてきました。1954年の発明当初は、変換効率が6%程度に留まっていましたが、太陽電池の性能は年々進歩しており、2023年現在では一般向けのソーラーパネルで20%以上と年々変換効率が向上しております。

日本では、1955年に日本電気株式会社が日本初となる太陽電池を開発しており、これ以降も開発が進められていました。1970年代には日本は産業のコメと言われている半導体製造に注力しており、1980年代には半導体製造で世界を席巻していました。太陽電池は半導体をベースにしていますので、日本では半導体の集積回路だけではなく太陽電池の研究開発でも世界的にリードしていました。この研究開発が花開き1999年から2006年まで太陽電池の生産量が世界一となっています。

1993年に住宅用の太陽光パネルが登場しましたが、当時は1kwあたりのパネル導入コストが370万円と価格が高すぎて普及には至りませんでした。しかし、翌年の1994年には補助金制度が始まり、導入の敷居は下がり、徐々に導入する家庭も増えていきました。2000年頃になると太陽電池の性能が向上すると共に生産性も向上したために、性能が向上しながら価格が下がり出しました。

そして、太陽光パネル普及の最大の要因となった再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が2012年から始まります。このFITにより、余剰電力は電力会社に定額で売電できますので太陽光パネルを設置した方が利益がでるようになり、導入の敷居は一気に下がりました。以降、太陽光パネルは投資目的でも設置されるようになり、全国の住宅の屋根の上や休耕地、山の斜面などに太陽光パネルが設置されている光景を目にするようになりました。

太陽電池の利用の拡大

太陽電池は発明された当時は高価で一般の利用は行われませんでした。しかし、太陽光があれば発電が可能なため、僻地や宇宙系統など、送電が難しい環境下での活用がなされておりました。。

初期の太陽電池は人工衛星に搭載されました。人工衛星は軽量化が求められますので、重く充電量にも限りのあるバッテリーの搭載は不向きでした。一方の人工衛星と太陽電池の相性は抜群に良く、以降、人工衛星や宇宙ステーションでの発電には太陽光パネルが使用されています。

一般家庭向けには、1980年には三洋電機からアモルファスシリコン太陽電池を内蔵した電卓が販売されました。当時は電卓のみではなくおもちゃや時計、各種製品に使い捨ての乾電池が使用されており、電池切れで止まることは日常茶飯事でした。しかし、電卓に太陽電池を搭載することで電池切れを起こさずに使い続けることが出来るようになりました。これ以降、様々な製品に太陽電池が組み込まれるようになっています。

生産技術が向上すると太陽光パネルの価格も次第に安くなり、固定価格買取制度に伴って多くの住宅に設置されるようになりました。さらに、固定価格買取制度で発電により利益が上がりだしたことから、1000kWを超える出力を持つ大規模な太陽光発電所であるメガソーラーの建設が盛んに行われるようになりました。

出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%85%89%E7%99%BA%E9%9B%BB%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0-%E5%A4%AA%E9%99%BD-2742305/

太陽電池に求められる用途の多様化

カーボンニュートラルの観点から、再生可能エネルギーの需要が高まり、特定のシチュエーションや製品に搭載する太陽電池という側面から、私たちの普段の生活で消費する電力の代替としての需要が高まってきております。

実際に大規模なメガソーラー施設が各地で建設されており、現在の火力発電に変わる電力源としての太陽光発電の導入が進んでいます。しかし、メガソーラー施設には広大な土地が必要であり、場所によっては森林を伐採してメガソーラー施設を建設することに批判の声も上がっております。

メガソーラー施設以外にも、助成金が設けられたりと、自宅の屋根に取り付ける一般家庭向けの太陽電池の導入も進められています。
一方で、従来のシリコン太陽光パネルは重く、体積が大きい上、設置場所を選ぶのでどこにでも設置できるわけではない、と言った欠点があります。太陽光パネルをより柔軟に安く設置することが出来れば、様々な場所に太陽光パネルを設置できるようになります。

これらのシリコン太陽電池の欠点を補うことが出来る太陽電池が、次世代太陽電池と言われているペロブスカイト太陽電池です。ペロブスカイト太陽電池は薄くて軽く、柔軟性があり曲げることも出来ますので、これまでシリコン太陽光パネルを設置できなかったビルの側壁などにも太陽光パネルを取り付けて発電できるようになります。

これにより、都市部の太陽光発電量の向上が見込め、電力の地産地消により、再生可能エネルギーをこれまでよりさらに効率よく利用することができるようになります。

出典:エネコートテクノロジーズ資料(大学発ベンチャーJST2023様式B0515final)より抜粋

ペロブスカイト太陽電池で拓く太陽光発電の未来

ペロブスカイト太陽電池の実用化に伴い、様々な分野への導入が期待されています。特に期待されているEV分野と電力の地産地消についてご紹介いたします。

EV(電気自動車)への応用

EVは化石燃料を使用せず電力を動力源とするため、走行時に二酸化炭素を排出せずにクリーンな乗り物としてガソリン車からの置き換えが進められています。しかし、EVが使用する電力が化石燃料を使って発電されていたら二酸化炭素削減はありません。

このため、再生可能エネルギーを利用した発電量の増加が求められています。ペロブスカイト太陽電池が実用化されれば様々な場所に導入されるため、日本全体の太陽光発電の発電量は増えると期待されています。

また、現在、EVの車体にペロブスカイト太陽電池を埋め込み発電させ、バッテリーに充電する方法も開発されています。軽量で柔軟性の高いペロブスカイト太陽電池をルーフやボンネットに搭載することで、走行しながら充電できるようになると期待されています。
これにより、航続距離がさらに伸びるとされており、EVの課題であった航続距離の短さという課題の解決が見込まれています。

太陽電池が取り付けられた車体

出典:エネコートテクノロジーズ資料(会社案内標準230607 P14)より抜粋

農業分野での応用

ペロブスカイト太陽電池の特性を活かして、農業分野での太陽光発電の導入に関する研究もも進められています。
例えば、ビニールハウスへの太陽電池の設置です。軽量でフレキシブルなペロブスカイト太陽電池は耐荷重が低いビニールハウスの曲面にも設置が可能です。
また、光透過率が高いペロブスカイトを活用することで、太陽光による発電と農作物の光合成に必要な光量の担保の両立が可能になると見込まれています。

農業分野でのペロブスカイト太陽電池の活用により、ビニールハウスの環境管理システムやモニタリングシステムの電源を太陽電力で補えるようになり、さらなる二酸化炭素排出量の抑制がすすむと期待を集めています。

人工衛星での活用

ペロブスカイト太陽電池は地上だけでなく、人工衛星への搭載など宇宙空間での活用も期待が持たれています。
宇宙空間への人工物の打ち上げには莫大な費用がかかります。一説によると1gあたりの物質の打ち上げコストは約100万円と言われており、薄くて軽量なペロブスカイト太陽電池は人工衛星への搭載に適しています。

また、現在、人工衛星には薄膜3接合型化合物太陽電池(以下、薄膜3接合型)と呼ばれる太陽電池が搭載されており、こちらもフィルム型で軽量な太陽電池です。一方で、薄膜3接合型は材料や製造方法が複雑であり低コストでの製造が難しい上に、主な市場が宇宙に限られているため大量生産による低コスト化が難しい状況です。

一方で、ペロブスカイト太陽電池はそもそもの製造コストが薄膜3接合型より低いことに加え、地上用途における需要が見込まれるため大量生産による低コスト化も期待できます。

加えて、特筆すべき点はペロブスカイト太陽電池の高い放射線耐性です。
現在、光変換効率では薄膜3接合型に劣るものの、放射線環境と要求寿命によっては、寿命末期での変換効率は薄膜3接合型と同等になるとされています。

電力の地産地消

ペロブスカイト太陽電池の実用化に伴い、これまで発電できなかった場所でも発電できるようになるため、太陽光発電の発電量は大幅に増加すると考えられています。
市街地のビルの壁面など、様々な場所で発電されるようになり、遠くの発電所から送られてくる電気を使用せずに地元で発電した電気を消費できるようになります。
つまり、電力の地産地消が可能になります。

地元で電力消費すると遠くの発電所から送電の必要がないため、送電の際に起こる電力のロスを最小限に留めることが出来るというメリットもあります。

まとめ

太陽電池は発明以降、性能及び生産性向上により次第に普及が進み、現在では多くの住宅に導入されてます。ペロブスカイト太陽電池の実用化が進めば将来的には住宅のみならず、様々な場所へ導入が進み、太陽光発電の発電量が増えると考えられます。

太陽光発電のニーズの高まり

現在温室効果ガスの排出に伴う地球温暖化問題が叫ばれており、これに伴い国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において2015年に二酸化炭素排出削減を行う国際的な取り決めであるパリ協定が採択され、2016年に発効されました。
日本でもこのパリ協定に基づき、2050年にカーボンニュートラルを達成することを目標として掲げています。

カーボンニュートラルとは、社会全体として二酸化炭素の排出量が実質ゼロの状態をさし、このカーボンニュートラルを実現するために、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの活用に注目が集まっています。

地球温暖化ガスの大半は二酸化炭素であり、化石燃料を燃やすことで排出されます。現在、化石燃料は火力発電や工業炉、燃料ガソリンなどで使用されているので、化石燃料を使用しないことがカーボンニュートラルのために重要です。

これまでの化石燃料が担ってきた役割を、太陽光を始めとした風力、水力、地熱などの再生可能エネルギーを使った電力で置き換えることが出来れば、その分二酸化炭素の排出量が減ります。
このような背景に伴い、国策として太陽光発電の普及が行われており、2012年の固定価格買取制度(FIT)を皮切りに、日本全体の太陽光発電の普及率は年々増加傾向を示しています。

従来型太陽光発電の課題

再生可能エネルギーで電気を生み出す太陽光発電はカーボンニュートラルに有効ですが、従来型のシリコン太陽光発電には幾つか課題もあります。

設置場所の制限

シリコン太陽電池パネルは重量があるため、屋根が太陽光パネルの重量を支えるための強度を持っている必要があります。そのため、木造住宅やの瓦屋根などの場合、設置が難しいことがあります。

また、シリコン太陽光パネルは平らな場所にしか設置できず、曲面がある場所には設置が難しいです。また、平面でもビルの側壁などへの設置は想定されておらず、主にビルなど建物の屋根や平地や斜面などの地面に設置場所が限定されてしまいます。

さらに、日本は平野部が少ないため、1,000kW以上の大規模太陽光発電所であるメガソーラーを設置する際には山間部や平野部の森林を伐採するケースが多く、自然破壊に繋がっていることや景観を損なうなどの問題が各地で生まれています。

出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E9%9B%BB%E6%B1%A0-%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%85%89%E7%99%BA%E9%9B%BB-%E9%9B%BB%E6%B0%97-191691/

導入コスト

シリコン太陽電池パネルは重量が大きいため、実際の導入にかかるコストや手間が大きいのが課題です。
製品ごとに多少の違いはあるものの、1枚あたりの重さは15kgであり、一般家庭の平均的な積載枚数である20枚の設置ではおよそ300kgにものぼります。

重量のある太陽光パネルは、屋根の上や建物の屋上までの運搬が大変な上、それを設置しても耐えられるような強い耐荷重の屋根にしなければならないため、総合での設置のコストが高く、導入の際の障害となっています。

廃棄コスト

一般的にシリコン太陽光パネルの寿命は25~30年と言われており、2012年の固定価格買取制度導入以降に設置された太陽光パネルは、2040年ごろを目処に寿命を迎え、交換や撤去等の処置が必要になります。
しかし、先述の通り、シリコン太陽光パネルは重く、体積も大きいため廃棄の際にも撤去や運搬にコストがかかるのが課題となっています。
廃棄コストとしては、小さい戸建ての場合でも、20~30万円の撤去廃棄費用が発生してしまいます。また、体積に関しては将来的に、ピーク時には使用済み太陽光パネルの年間排出量が、産業廃棄物の最終処分量の6%にも及ぶとする試算もあります。(2018年,資源エネルギー庁)

ペロブスカイト太陽電池登場による期待

現在、次世代太陽電池として期待されているペロブスカイト太陽電池が登場し、実用化に向かって開発が進んでいます。このペロブスカイト太陽電池は薄くて軽く、柔軟性があるため、シリコン太陽電池では設置が困難であった場所への導入が期待されています。

導入コストの低下

ペロブスカイト太陽電池は薄く軽いので運搬が非常に容易です。
従来のシリコン型の太陽電池の重量が、1㎡あたりおよそ11kg~13kgであるのに対し、ペロブスカイト太陽電池重量は10分の1の重量ほどとなっています。軽量化に伴い、その分運搬に関わるコストが抑えられます
また、運搬だけでなく、実際に屋根への設置もその軽さからシリコン型太陽電池に比べて容易なため、設置のコストも安くなることが期待されています。

出典:エネコートテクノロジーズ資料(大学発ベンチャーJST2023様式B0515final)より抜粋

廃棄コストの低下

ペロブスカイト太陽電池は薄く軽量なため、廃棄の際の屋根からの撤去コストや撤去後の運搬のコストの低下に貢献します。

また、フィルム状で、回収後の体積もかさばらず、保管コストの低下や最終処分場の容量に関する課題解決も期待されています。

また、現在、寿命を迎えたペロブスカイト太陽電池を洗浄・再加熱するリサイクル法の開発も進められており、リサイクルのコストについてもシリコン型太陽電池に比べて優位になる可能性があると期待されています。

設置場所の多様化

シリコン太陽電池は柔軟性が無いため曲げることはできませんが、ペロブスカイト太陽電池は非常に薄くフレキシブルなので曲げることが出来ます。これらの特徴により、実際の取付方法は開発中ですがより柔軟な設置が可能になり、その軽さと相まってビルの壁や曲面などシリコン太陽電池が苦手にしていた場所に設置することができるようになることが期待されています。

また、その軽量性を活かして、これまで設置が難しかった耐荷重の低い古い倉庫や一般住宅の屋根でも設置が出来るようになると期待されています。実際にエネコート社は倉庫保有者などと共同での実証実験について協議をしているところです。

さらに、建築物だけでなく、自動車のボディーや軽量の飛行機の翼、窓ガラスなどにも応用が検討されており、ペロブスカイト太陽電池が実用化されると街中にペロブスカイト太陽電池が設置され、発電している様子を見かけるようになることが予想されています。

シリコン太陽電池とペロブスカイトの比較表

出典:エネコートテクノロジーズ資料(ペロブスカイト太陽電池ならびに弊社事業のご紹介)より抜粋

まとめ

ペロブスカイト太陽電池は、導入コストやシリコン太陽電池が苦手としていたような場所への導入の面で優位性を持っており、カーボンニュートラル実現への重要な役割を果たすことが期待されています。

第一回HeCNOSアワード(カーボンニュートラル部門)を受賞しました。

この度弊社は、公益財団法人大阪産業局主催
第一回HeCNOSアワード(カーボンニュートラル部門)で受賞いたしました。

HeCNOSアワードについて

受賞者一覧

ペロブスカイト太陽電池の構造と発電メカニズム

ペロブスカイト太陽電池の発電メカニズムは他の太陽電池と同じですが、太陽電池に利用される素材が異なります。
今回はこのペロブスカイト太陽電池のデバイス構造や発電メカニズムについてご説明いたします。

・ペロブスカイト太陽電池とは?
ペロブスカイト太陽電池とは、
ペロブスカイト構造と呼ばれる結晶構造の物質を使用した太陽電池です。
ペロブスカイト太陽電池は2009年に横浜桐蔭大学の宮坂教授の研究グループにより報告されました。当時は変換効率が4%程度と低かったのですが、変換効率の向上ともに世界中の研究グループの注目を集め、開発競争が始まりました。

そして、ビジネスチャンスを見込んだ企業の参入も追い風となり、
2023年8月現在では、変換効率26.1%を実現し、シリコン型に追いつく変換効率が実現されています。
研究の歴史についてはペロブスカイト太陽電池に関わる研究の歴史という記事で解説しております。

ペロブスカイト太陽電池の特徴として、薄く柔軟、かつ軽量のため設置場所の幅が広がること、また低照度での発電効率が高いことが挙げられます。
一方で、現状のペロブスカイト太陽電池はシリコン太陽電池に比べて耐久性に劣ることや、設置に関する関連技術の開発などの実用化に向けた課題の克服に取り組んでいるところです。

シリコン太陽電池とペロブスカイト太陽電池の比較表

・ペロブスカイト構造とは?

出典:エネコートテクノロジー株式会社,会社案内標準230607のP5より一部加工(カチオン等の語句を消去)
ペロブスカイト構造は以下の図のように一般化されています。
A、B、Xにはそれぞれ原子や分子が配置されます。

結晶構造の中心にあるBは鉛やスズ、ビスマスなどの金属が使用されます。そして、このBを取り囲むように6個のXにより8面体が作られます。

この8面体に8個の正のイオンであるAが6面体を作るように配位されてペロブスカイト構造が完成します。
結晶を構成する最小単位である単位格子に注目すると、Aは立方体の8つの各頂点に1/8の体積の原子が存在するため、単位格子中には1/8×8=1個のAが使用されています。

また、Xは立方体の6つの各面に1/2の体積の原子が存在するため、1/2×6=3個の原子が使用されています。Bは立方体の中心に1個あるのみなので、単位格子中には、A:B:X = 1:1:3の比率で各原子が存在しています。

・ペロブスカイト太陽電池の構造

ペロブスカイト太陽電池は

①裏面電極
②正孔輸送層
③ペロブスカイト層
④電子輸送層
⑤透明導電膜

の5つの層構造に分かれています。

①裏面電極
デバイスの後端部に位置し、正孔輸送層からの正孔を集めて外部回路に供給する役割を果たしています。

②正孔輸送層
正孔輸送層は、ペロブスカイト層で発生した正孔を効果的に収集する一方、電子の流れを妨げる役割を持っています。

③ペロブスカイト層
ペロブスカイト太陽電池の肝となる層です。ペロブスカイト層で太陽光を吸収して、電子と正孔を生成します。

④電子輸送層
電子輸送層はペロブスカイト層で発生した電子を効果的に収集する一方、正孔の流れを妨げる役割を果たしています。

⑤透明導電膜
透明導電膜は、金属材料と同じように導電性を持ちながら、可視光を透過する性質を持つ材料で形成される層です。電子輸送層から電子を集め、外部回路に流す役割を果たしています。インジウムスズ酸化物、フッ化スズ酸化物などが素材となっています。

・ペロブスカイト太陽電池の発電原理

ペロブスカイト層に太陽光が届くと、光エネルギーによって自由電子(マイナスの電荷)と正孔(プラスの電荷)が生成します。

このとき、ペロブスカイト層の上下を電子輸送層・正孔輸送層の2種類の層によって挟み込むと、自由電子は電子輸送層に、正孔は正孔輸送層にそれぞれ移動します。これにより、電子の流れ=電流が発生します。
これが、ペロブスカイト太陽電池の発電原理です。

また、ペロブスカイト層に太陽光が届く前に、他の層で光吸収が起こると、自由電子と正孔の生成量が減ってしまうため、光が差し込む側には透明な層を用いる必要があります。

一方、ペロブスカイト層で発生した自由電子・正孔をロスなく取り出すため、金属のように電気抵抗の低い層を用いる必要があります。そのため、太陽光が入射する側の電極には、可視光を透過する性質を持ちながら、金属材料と同等の導電性を兼ね備えた透明電極(酸化インジウムすず等)が用いられています。

・従来のシリコン型太陽電池との構造の違い

基本的に、太陽光を吸収することによって発生した電子・正孔対を2種類の半導体で引き抜くという点では、ペロブスカイト太陽電池もシリコン型の太陽電池も同様です。
素材として、結晶シリコンを用いるか、ペロブスカイト層を用いるかが違いとなっています。
このシリコン型太陽電池に欠かせないp型n型のシリコンウェハーは一般的に結晶のため、ペロブスカイト太陽電池のような柔軟性を担保するのが難しいのです。

また、結晶シリコンは、ペロブスカイトと比べて光を吸収する能力(光吸収係数)が数十分の1程度と小さいため、シリコンで十分な量の光を吸収するためには、分厚い膜が必要となってしまいます。そのため、ペロブスカイト太陽電池と比べて重量が重くなり、耐荷重の大きい場所にしか設置できないという特徴の違いが生まれています。

まとめ
ペロブスカイト太陽電池は、その独特の構造により、従来のシリコン太陽電池とは異なる特性を持っています。特に、透明導電基膜から電極にかけての層構造は、ペロブスカイト太陽電池の薄さや柔軟性の秘訣となっています。
この特性を活用することで、これまで設置できなかった箇所への太陽電池の設置ができるようになったりとさらなる自然エネルギー活用に繋がると期待されています。

ペロブスカイト太陽電池に関わる研究開発の歴史

次世代太陽電池としてペロブスカイト太陽電池が脚光を浴びています。現在主流である結晶シリコン太陽電池は光電変換効率と耐久性が高い一方で製造コストが高く、発電コストを押し上げています。
一方のペロブスカイト太陽電池は塗布するだけで製造できるために製造コストが安く、発電コストを下げると期待されています。
今回はこのペロブスカイト太陽電池の研究の歴史や最新の研究を紹介します。

・2009年:太陽電池としてのペロブスカイト利用の兆し
ペロブスカイト太陽電池は元々色素増感太陽光電池の研究の一環として発明されました。
色素増感型太陽電池の一部をペロブスカイトに置き換えても太陽電池になるのではないか、と言う発想に基づき、桐蔭横浜大学の宮坂教授のグループによって2009年にペロブスカイト太陽電池が作られました。

宮坂教授は発見後、その可能性に気づき研究を続けましたが、3年間の研究でも変換効率は4%程度しか達成できませんでした。
しかし、宮坂教授のグループ以外でも研究が続けられており、2012年にはオックスフォード大学の研究グループにより変換効率が10%を超えたと言う結果が報告されました。

現在実用化されているシリコン製の太陽電池の変換効率は20%を超える程度です。

研究の初期段階で変換効率が10%あれば高いポテンシャルを秘めていると考えられ、以降世界中の研究者がペロブスカイト太陽電池の研究を始めました。

・変換効率向上への挑戦
以下のグラフは2019年までに第三者機関で認証された変換効率の変遷です。2009年に宮坂教授のグループにより達成された変換効率は3.8%でしたが、2012年にオックスフォード大学のグループにより10%を超え、そこから急激な上昇を見せています。

特に2014年の一年間で4%以上変換効率が上がっており、2009年の報告からわずか5年で20%を超えました。この変換効率の記録更新に伴いペロブスカイト太陽電池の知名度と期待が高まっていきました。

2014年以降は年間に1%程のペースで徐々に上昇を続けており、2019年には25%を超えています。
そして、2023年7月現在では、エネコートテクノロジーズの研究結果による26.1%が最高効率となっています。


最高効率と達成年のグラフ

出典(高牟礼再作成):High-Efficiency Perovskite Solar Cells | Chemical Reviews (acs.org)

一方で、実用化を行うにあたっては変換効率よりも耐久性と製造コストが重視されます。ペロブスカイト太陽電池は結晶シリコン太陽電池に比べて耐久性が低いことが知られています。

ペロブスカイト太陽電池に使用されるペロブスカイト結晶は水蒸気や酸素に弱く、大気中では寿命が著しく低下します。このため、大気に触れないように封止する必要がありますが、それでも結晶シリコン太陽電池の耐久性には及びません。

変換効率が低くても耐久性が高く製造コストが安ければ実用化は可能ですが、耐久性が低いとすぐに寿命が来て使えなくなり、再設置を余儀なくされますので市場での競争力が低下してしまいます。

このため、最高効率を目指す競争から実用に向けた高耐久で低コストのモジュールの開発へのシフトが起こりました。

このペロブスカイト太陽電池の耐久性を向上させる研究が日本で行われており、2023年に京都大学の若宮教授のグループで、様々な特徴を持つ物質を効果的に組み合わせることで、スズ-鉛混合系のペロブスカイトの表面を保護する手法が開発されています。

この研究では、窒素ガス雰囲気中で2000時間、空気中で450時間以上最初の出力の90%を維持しており、変換効率も22.7%と高い結果が得られています。

・実用化に向けた研究開発
ペロブスカイト太陽電池は面積が大きくなるほど変換効率が下がることが知られています。以下のグラフは面積と変換効率の関係を表したグラフです。

最高効率を競っているセルは実際には0.01㎠程度の非常に小さなものです。
1.0㎠を超えると急激に変換効率は低下しており、20㎠程度のモジュールでは変換効率は20%に到達していません。

しかし、800㎠程度の比較的大きなモジュールでは比較的変換効率は近年急激な上昇を見せており、もう数年すると20%の大台を超える可能性が見えてきます。800㎠は市場投入される製品に近いサイズであるため、実用化へ向けて他のサイズよりも開発が進んでいます。

変換効率が20%を超えると現在主流となっている結晶シリコン太陽電池の効率と比較してもそん色はなく、後は実用化に向けて耐久性向上及びコストダウンが焦点になると考えられます。


出典:A Review on Scaling Up Perovskite Solar Cells – Li – 2021 – Advanced Functional Materials – Wiley Online Library

ペロブスカイト太陽電池はポーランドのスタートアップ企業であるサウレ・テクノロジーズから既に商業販売されており、様々な場所に導入されています。

しかし、変換効率及び耐久性は結晶シリコン太陽電池にはまだ及ばず、今後の発展が期待されています。サウレ・テクノロジーズ以外にも様々な企業が販売に向けた計画を発表しており、日本の企業では京都大学発のベンチャー企業であるエネコートテクノロジーズが車搭載用のペロブスカイト太陽電池をトヨタ自動車と共同開発するなど、斬新なアイデアに基づいた高性能のペロブスカイト太陽電池を開発しています。

・実用化の鍵を握る関連領域の技術開発
ペロブスカイト太陽電池の利点は薄く作れるので柔軟性が高いことと印刷技術を利用して作ることが出来ることが挙げられます。
ただし、薄く作れても基板が硬ければ折角の利点が生かせません。このため、フレキシブルな基板が必要になります。

基板には太陽光を透過させるため、透明で光の吸収率が低く劣化しにくい素材が求められます。基板が光を吸収してしまえばその分だけ発電量が落ちてしまいますので、ペロブスカイト太陽電池用の基板としては光の吸収率が低く劣化しにくい素材であるシリカガラスがよく使用されます。

しかし、基本的にシリカガラスは窓ガラスのように硬く、曲げようとすると割れてしまいますので柔軟性はほぼありませんが、ガラスの組成を上手く調整すると非常によく曲がるガラスが出来上がります。コーニング社のWillow Glassはフレキシブルなガラスとして良く知られており、ペロブスカイト太陽電池の基板として用いられることがあります。このようなフレキシブルなガラスを基板としてペロブスカイト太陽電池を作ると簡単に曲がる太陽電池が作れ、実用化の際の用途が広がります。

もう一つがプリント技術です。ペロブスカイト型結晶を成膜する際には実験室レベルではスピンコーターなどが用いられますが、大量生産ではプリント技術を用いて基板上に印刷し、高温でアニールを行うことで生産することも可能です。
このため、様々な二次元の形状を持つ膜を作ることができるようになり、プリント技術はペロブスカイト太陽電池実用化には無くてはならない技術となっています。

・まとめ
現在ペロブスカイト太陽電池の研究は変換効率競争から耐久性向上やコストダウンへとシフトしており、実用化まであと一歩に迫っています。ペロブスカイト太陽電池の製造コストは結晶シリコン太陽電池よりも数倍低いとされており、耐久性が結晶シリコンに近付くとペロブスカイト太陽電池が主流となっていくと推測されています。

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