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- update:
- 2025.09.10
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フィルム型ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発を加速
屋外定置型用途に本格参入へ
株式会社エネコートテクノロジーズは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業/次世代型太陽電池実証事業」に、「設置自由度の高いペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた量産技術開発と実証事業」(以下、本事業)を提案しておりましたが、2025 年9 月10 日に採択が公表されましたことをお知らせいたします。
本事業は、経済産業省 資源エネルギー庁が策定した『「次世代型太陽電池の開発」プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画』における最終フェーズに該当し、2030年度までに一定条件下(日射条件等)での発電コスト14 円/kWh 以下を目指すものです。この度の採択決定によりエネコートは、現行フェーズ(次世代型太陽電池実用化事業、2021年12月28日採択)に引き続き、グリーンイノベーション基金の支援のもと、国内主要プレイヤーのうちの1社として次世代型太陽電池(ペロブスカイト太陽電池)の研究開発および社会実装に取り組むこととなりました。
「次世代型太陽電池の開発」プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画

またエネコートは、本事業の実施を契機として巨大市場である屋外定置型用途へのペロブスカイト太陽電池による本格参入を目指します。本事業には委託先として、エネコートの起源である京都大学が参画するほか、以下の各機関と強力な企業・アカデミア連合(以下、「コンソーシアム」)を組成し、2050年までのカーボンニュートラルの実現に向けて研究開発の成果を着実に社会実装へつなげ、その後の国内外への大規模普及を進めるべく万全の体制で本事業に臨みます。さらに、本事業の実施にあたっては生産方式として創業来初めてとなる「ロールto ロール工法」の本格導入を予定しており、エネコートが得意とする「フィルム型」による市場形成を強く推進いたします。

ペロブスカイト太陽電池の開発競争は、グローバルでは既に大規模生産フェーズに移行しており、中国勢を中心に「ガラス型」で従来型の結晶シリコン系太陽電池と真っ向から対峙する構図になっています。一方で日本国内においては、軽く・薄く・曲がる(割れない)というフィルム型ペロブスカイト太陽電池の特長を活かした、結晶シリコン系太陽電池が設置できない場所(耐荷重の小さい屋根や建物壁面等)への導入による早期の市場形成が期待されており、本事業でも当該市場をターゲットとします。
日本政府が2025年2月に閣議決定した「第7次エネルギー基本計画」および経済産業省が2024年11月末に公表した「次世代型太陽電池戦略」においては、「2040年までに累積で約20GWのペロブスカイト太陽電池の導入を目指す」との明確な数値目標が示されています。これを受け日本国内においても、今後、大規模生産体制の構築に向けた競争激化が予想されますが、エネコートは上記コンソーシアムを組成して当該競争に参入し、コンソーシアムの中核的存在として研究開発をリードしていきます。

【関連リンク】
日本経済新聞:「京大発エネコート、曲がる太陽電池で産学連合 豊田合成や青学も」
PR TIMESでのプレスリリースはこちら
【本件に関するお問い合わせ先】
E-mail:info@enecoat.com
株式会社エネコートテクノロジーズは、第三者割当増資によりシリーズC ラウンドの最終の資金調達を実施しましたのでお知らせいたします。
今回の増資により、シリーズC ラウンドの資金調達総額は約63億円、創業来の累計資金調達額は約87 億円となりました。
>プレスリリースはこちら
このたびトヨタ自動車株式会社との共同開発プロジェクトにおいて、ペロブスカイト太陽電池と結晶シリコン太陽電池を積層した4端子タンデムセルで30%を超える変換効率を達成いたしました。
この成果は、ペロブスカイト太陽電池分野における両社の極めて優れた研究開発能力を証明し、共同開発プロジェクトの目的である高効率太陽電池の実用化を加速するものです。
自動車や人工衛星等で使用される太陽電池は、搭載可能な面積が限定されるため可能な限り高い変換効率が求められます。ペロブスカイト太陽電池単独の理論変換効率は33.7%であるのに対し、ペロブスカイト太陽電池と結晶シリコン太陽電池を積層したタンデム型の理論変換効率は43.8%と単独型の数値をはるかに上回るため、タンデム型には高効率太陽電池として非常に高い優位性があります。
タンデム型は、受光面側から順にペロブスカイト、結晶シリコンそれぞれの発電層を持つ構造となっており、最初にペロブスカイト太陽電池が可視光領域の光エネルギーで発電し、ペロブスカイトが吸収しない赤外領域の光エネルギーで結晶シリコン太陽電池が発電します。そのため、ペロブスカイト太陽電池には、可視光での高い発電能力と赤外線をロスすることなく結晶シリコンに透過させる性能の両立が求められます。今回、両社はペロブスカイト太陽電池の透過性に着目し、赤外線透過率を81%まで向上させることに成功いたしました。

自動車のルーフに太陽電池を設置する場合、ルーフ形状に沿う必要があります。両社は、フィルム型のペロブスカイト太陽電池を用い、シースルー型としては極めて高い変換効率である22.4%を達成しました。22.4%の変換効率と81%の赤外線透過率を有するフィルム型ペロブスカイト太陽電池は世界でもこれまでに報告例が無く、両社の極めて優れた技術力を証明することができました。このフィルム型ペロブスカイト太陽電池と結晶シリコン太陽電池を組み合わせることで、タンデム型(4端子)として合計で30.4%という世界最高クラスの変換効率を達成することができました。

今回得られた変換効率の数値は、セルレベルの限定された面積での測定値であり、今後、本取り組みの成果を基盤としてモジュール化・大型化に取り組み、ユーザーメリットに優れた高効率太陽電池の実用化に向けて開発を継続してまいります。
なお、本成果は2025年1月21日、22日に京都大学宇治キャンパスで開催されるThe Asia-Pacific International Conference on Perovskite, Organic Photovoltaics and Optoelectronics (IPEROP25)において発表される予定です。
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株式会社エネコートテクノロジーズは、2023年12月19日付けで、神奈川県および国内EPC事業会社である日揮株式会社(代表取締役社長執行役員 山田 昇司)と「脱炭素化促進のためのペロブスカイト太陽電池の普及に関する連携協定」を締結しましたので、お知らせします。これは、神奈川県の脱炭素化に向けて、ペロブスカイト太陽電池の実用化および普及を目指すものです。
関連プレスリリース 日揮株式会社
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株式会社エネコートテクノロジーズは、このたび日揮ホールディングス株式会社、苫小牧埠頭株式会社と共同で、北海道苫小牧市の物流施設に、エネコートテクノロジーズが開発した次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」を設置する実証実験を2024年から開始することを決定しましたので、お知らせいたします。
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